映画感想文
もうすぐ漫画復帰しますんで待っててくださいね!
映画感想
SPLIT(2017)
監督 M・ナイト・シャマラン

あらすじ
高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし……。
うわああああ、やられた、やられたよシャマラン監督ううーーー!!!!泣いてしまったー。・゚・(ノД`)
PG12でもR15でもないしあまりエグイ演出はないだろうな…と予想はしていたものの、思ったより本当に怖くなくてすっかり油断してたんですわ…。
中盤くらいまでかったるいなあ…とか思ってて、オチもだいたい読めてたし、(多重人格の男の本名がキーになることとか)実際に心理学カウンセラー?のお婆ちゃんの行く末も予想通り……。
だったんだけどおおおお、あれ??れれ?とジワリジワリ面白くなってくる。これ、シャマラン監督、途中離脱する奴なんて眼中にないでしょw
最後まで観た奴だけが味わう謎の感動。っていうかかわいそうなんだよ…。
途中途中カットインしてくるケイシーの過去も「ああ、射撃の伏線ね…この叔父は絶対ロリコンだよね…」って予想を外さない、なんの捻りもない感じなんだけど、
なぜか、それでもだんだん泣かされてしまうのはシャマランの腕なんだろうか。
確かに演出が全然怖くないし映像もお洒落でもなく、ちょっと安っぽい(これはシャマラン映画に割とありがち)。だけどそれもそのはず、決して監督の狙いは「怖がらせること」ではないんだよね…。
だからそう、どんどん多重人格の男に慣れくる視聴者、どんどん感情移入しちゃうわけです。
モンスターとなった彼の姿には涙が止まらない、なんつー悲しい映画なんだよこれ…。やっぱ奇才だよこの人。最後スパイダーマンみたいになってたじゃんw
で、ちょっと謎だったのは意味深なラストシーン。
ブルース・ウィリスが出てくるんだけど、本当に数秒。
今回の監禁殺人事件のニュースが流れる喫茶店にて。
名もない女の客が「ミスター・ガラスの事件に似てる」とかなんとか。そこでカメラはブルースのアップへ。
ん~なんだろうこれは……。
と思って検索してみたら、
2000年公開の『アンブレイカブル』、2016年公開の『スプリット』の続編が『ミスター・ガラス』なんだとか。
あれれ、三部作なの?観なきゃ……。
MANCHESTER BY THE SEA(2016)
監督 ケネス・ロナーガン

あらすじ
ボストン郊外で便利屋をしている孤独な男リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の急死をきっかけに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。兄の死を悲しむ暇もなく、遺言で16歳になるおいのパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人を引き受けた彼は、おいの面倒を見るため故郷の町に留まるうちに、自身が心を閉ざすことになった過去の悲劇と向き合うことになり……。
この監督、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の脚本も手掛けてるみたいで、そういやあっちも父と息子とか家族愛に着目した映画だったなあ…懐かしい。あれも名作に入るだろうな。
そして、本作はマット・デイモンがプロデュースしたんだとか、へ~、プロデュースって具体的にはどんなことすんだ?という疑問はさておき、素晴らしい映画でした。ん?ドラマなのかな。映画情報検索したらドラマってなってた。クオリティ高すぎないか??
ちなみに受賞歴はこちら
第89回アカデミー賞
主演男優賞 脚本賞
第82回NY批評家協会賞
男優賞 助演女優賞 脚本賞
第74回ゴールデン・グローブ
男優賞(ドラマ)
納得です……ケイシー・アフレックの演技は素晴らしかった。そして多分この手の映画は賞レースに強い!審査員に非常に好まれる類のお話。
脚本もすごく丁寧に丁寧に登場人物の心を描いていて息苦しくなるほど…。
家庭を省みない男の一生消せない傷、後悔、懺悔…そして元妻の苦しみの日々…赦し。
16歳の甥っ子の揺れる心、反抗心と寂しさの狭間に垣間見える優しさ、脆さ、そして若さゆえの強さや希望。
後半結構泣きっぱなしだったなあ…ケイシー・アフレックの演技がとにかく素晴らしかった。彼が演じなけれなここまでの涙は流れなかったと思う。
ただ淡々と己の過去から逃げ、でも逃げられず、だけど日々目の前にある問題を超えていかなきゃならない。
死にたいけど死にきれず、生きながら死んだ心を抱いて時の経過を静かに見つめる男と、それをとりまく周囲の軽蔑、抱擁、いろんな感情が川のせせらぎのように心地よい、そんな作品です。
しかし、アメリカ人て本当にこんななのかな?
毎度毎度どの映画でも必ず「別れて新しい夫と暮らす元妻が自分の兄の葬儀にくる」とか、
新しい夫を紹介したいから食事しよう、とかもう私の倫理観を超えてるわ。
長城/THE GREAT WALL(2016)
監督 チャン・イーモウ

あらすじ
世界を旅するウィリアム(マット・デイモン)ら二十数名の傭兵部隊は、シルクロードの中国国境付近で馬賊に攻撃された上に謎の獣に襲われる。生き残ったウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)は、禁軍が守る万里の長城にたどり着くものの降伏を余儀なくされる。戦略を担うワン(アンディ・ラウ)によって処刑を免れたのち、自分たちを襲った獣が饕餮(とうてつ)という怪物であり、万里の長城がその群れを都に入れないための防壁だと知るウィリアムとトバール。やがてすさまじい地響きと共に無数の獣が迫ってきた。
おもしろB級映画にマットデイモンが………キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
おいおいおいおい、あんた上で紹介したMANCHESTER BY THE SEAのリー役を友人のケイシー・アフレックに譲ってまでこの映画に出たんだよね!!
そんなマットさん……嫌いじゃないっすw
久々に当たりだったB級映画。これはつっこみどころが多くて、なおかつそこも含め楽しめる、頭空っぽ映画です!!
こういう映画はある意味名作よりも勉強になるんだなあ…。
カメラアングル、なかなか良い、ただし時々場面転換が変w
人の心の機微、描けてないwキャラが定まらず行動に一貫性があるようなないようなwでも力技でほぼ予想通りの展開を見せてくれる。
なので意外性がなく驚きやときめきやハラハラがない。
かと思いきや、本来なら絶対そうならないであろう場面で前触れもなく「うそーん……」と思うようなアホな行動を取りいろんな意味で笑わせてくれる。
女将軍がいまいち魅力がない、でも他の女性はまったく目立っていないため、こいつしかお相手いないしそれなりにお色気(キスだけでも)シーンくるだろう、いや、来るべきだ、という視聴者の期待を見事に裏切り、恋に堕ちるどころかただただ味気ない信頼関係だけ築いて終わるwいや、その「人を信じる」ということをしない男という設定なんだけどウィリアム、まずそれがおかしい。トバールともコテコテの親友って感じで、一体どこらへんが「人を信じない生き方」なのか。
で、女将軍とキスひとつしないまあそこは王道に逆らっていて悪くはないけど、それにしても味気ない。
ただ、なんというか中二心をくすぐるような、ワクワクする武器がたくさん出てきてそれだけでもものすごくおもしろいw
映像はCG丸出しなのになんとなく許せてしまう。怪獣饕餮がB級にはふさわしくないほどいい具合にエグいデザインで好き。
禁軍がまとう鎧がいちいちアニメチックで奇抜、安っぽいのにこれまたワクワクするw
都にいる王に関してはいきすぎもいいところで、なんという下品さ、金ピカのピッカピカ。なのにだんだんこちらの目が狂ってきて美しく見えてくるから怖い。
妙に我儘な感じの少年王なんだが、そのキャラも映画の中でまったく生かすことなく、台詞と台詞の間に不自然な間をつくってしまう。
忘れちゃいけないウィレム・デフォー。随分老けたなあ……としみじみしていたのも束の間、なんでこんなアホみたいな役を……と思ったけどライフ・アクアティックでもおもろいキャラ演じてたのでそういう映画に出るのも珍しくないのかも。あとアンディ・ラウはああいう衣装がとても似合う!!
The Dressmaker(2015)
邦題 復習のドレスコード/オーストラリア
監督 ジョスリン・ムーアハウス

あらすじ
オーストラリアの田舎町。25年前に同世代の少年スチュワートを殺害した疑いをかけられて町を去った女性ティリーが、認知症になった母親の面倒をみるため、久々に帰郷する。ティリーに不信感を抱く者も大勢いたが、彼女がデザイナーであることを知った町の女性たちは、ドレスの制作を次々と依頼するように。そんな中、ティリーは自分と同世代の男性テディと親しくなり……。
これは…
ケイト・ウィンスレットが演じる、ド田舎の村から追い出されたんだけど25年振りに戻ってきた女性を演じてます。
母子家庭、超超過疎の閉鎖的な村、気弱な女の子 ときたらもういじめの対象まったなし、その虐め主犯格の糞ガキを殺した…という罪を着せられ逃げるように村を出て寄宿舎に入れられてたという流れ。
母は丘の上の家で半分ボケ老人となってゴミに囲まれた暮らしをしてるわけです…。
そこに、ココ・シャネルばりの恰好で帰省してきた娘、再会、娘を罵倒、というおきまりの流れ。
呆けてるから娘のこと覚えてないんだけど演技なんだかなんなんだか、どんどん元気になっていっちゃうw
母と娘の絆、という視点で観ると感動するんだけど、ちょっと詰め込みすぎてて140分超えの長い映像に「ええ~、もういいよ~」と少しダレてくる。
いくらなんでも……こんなかわいそうな娘に初めて訪れた美しい恋愛をぶち壊すとか酷すぎない?ラストあたりになるとすぐ人死に過ぎない?
邦題が悪いんだけど、もっとこう、エグイ復讐が待っているかとばかり…。
だってねえ、いじめっ子の男の子すごいですよこれ、いけないことだけど「あ、こいつは死んでもいい人間だわ」と思わせる演技。
いやまて、それより最低最悪の馬鹿教師、あれはもういっそのこと四肢バラバラにして埋めてやった方が世のためじゃないか??
とまあ怒りを発散させるのはここまでにして…。
ケイト・ウィンスレット……相変わらずモッサイ女優さんだなあ~、いくらパリやロンドンで裁縫を極めてドレス作りできるやり手になったとはいえ、めっちゃ着飾っているとはいえ、
そこまでの美人でもなく、肩周りの肉もめっちゃたくましく、完全に3児の母ちゃんくらいにしか見えない感じなんだけど、よくよく考えるとだからこそこの女優さんを抜擢したのかな?
イケてる女が一人もいない、超超超ド田舎、あるものは砂埃くらい、そんなとこならケイト・ウィンスレットでさえ男は振り回される、という妙なリアリティ。
パリやロンドンならどこにでもいる女性、でもここでは超ド級の美女…というおもしろさ。
そして、復讐に現れた曲者女キャラから一転、ただ皆に受け入れてもらいたいだけのつっぱった寂しげな女性でした…っていう。いい歳した大人なので余計に物悲しい…この映画公開?した2015年の時点で40歳くらいだよねこの人。
まあ結局この映画何が言いたいかって、母と娘の絆は愛する男の死すら乗り越えられる、保安官最高、ゴミは焼却しましょうねという教訓。
どんなに磨いてもゴミはゴミ、という村人たちへの皮肉たっぷりのドレスアップショーでした。と同時に男性に虐げられる女たちを解放する物語でもあった。
この映画の中においては、あくまでも「女性は被害者」なんだよね、今の時代はむしろうるさい女たちがおいしいとこ取りしながら権利だ差別だーとキャンキャン吠えてるけど。
コメディーでもありブラックユーモアでもあり、なんかごった煮なんだけどおもしろい作品でした。
LIFE OF PI(2012)
邦題 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
監督 アン・リー

あらすじ
1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。
こ…これはすごい、ものすごい映画だ。一切のネタバレをしたくない…。
一度観たときに生じる違和感、これは間違いじゃなく正解なんだな。
幻想的な夜の海、現実離れした島…すべてに意味があった。
ぜひともまだ未鑑賞の方は観てほしい作品です。子どもたちと鑑賞したんだけど観終わった後も息子とかなり話が盛り上がった。下の娘にはちょっと難しくてただの漂流映画として楽しんだみたい、それも無理はない。
以下、ネタバレ↓
前半、家族で乗船するまでのエピソードが結構長い。ここでダレてしまう人は多いだろう、でも実はすごーーーーく重要なことを伝えています。主にパイの持つ宗教観やその理知的で非常に穏やかな性格、また、トラに餌(生肉)を与えようと危険な行為に出る少年時代のパイ、ここで父親が叱った言葉が後々生きてくる。
で、すったもんだあって、動物たちと一家を乗せた船が嵐に遭い小型ボートでなんとか逃げ延びた青年。
そこにはハイエナ・テナガザル・シマウマ・トラも同乗。
無事陸に着き救出されるまですったもんだあります。そこもすごく見応えがある。漂流映画とは思えないほど幻想的でファンタジーな世界観、映像美、もうとことん惜しみなく、素晴らしい絵を楽しめる。勿論そこには再び訪れる嵐だったり、食糧問題だったり色々な困難も待ち構えていて……。
でもラストまで観るとわかる衝撃の事実。
ボートの上で起こった様々な騒動。シマウマの衰弱、ハイエナがテナガザルを襲い食い殺す、そこに突如出現したトラと、トラに食い殺されるハイエナ…最後に残ったトラと青年の駆け引き。
これら、実は比喩表現で、現実はシマウマ⇒日本人船乗り・テナガザル⇒パイの母・ハイエナ⇒船のコック・そして……トラ⇒パイ青年の本能の部分…だった。それだけではなく、二度観るとさらに驚かされる、途中辿り着いた無人島、この島の形に意味があったり、蓮の花に包まれた人間の歯、ミーアキャットの異常な大群、島の中心に不自然に存在する湖。これの意味を知るとものすごく恐ろしい……。
「トラに助けられた」というのは「肉を食べない自分がトラになることで生き延びた」ということで……とにかく切ない、切ないなあ…。
ひとつ、一番印象に残っていたシーン。自分はまずここで違和感を覚えた。(ラストのオチまではさすがにわからなかった、あれ?って思った程度)
とっくに海に落ちて消えてしまったはずのトラがボートの中に隠れていて、ハイエナがテナガザルを殺したときに突如飛び出てくる場面。ここはものすごい迫力で、後々になって「ああ…母親を殺されて怒りのあまり本能剥き出しになったパイだったのか…」と気づくんだけど、確かに、え?どこにいたの?その隠れてた場所、さっきまでハイエナももぐりこんでたじゃん…なんで今になっていきなりトラが飛び出してきたんだろう……って。
そう、トラは現実にはいなかったわけだから、あれはパイなんだよね……すっごく悲しい。きちんと絵で見せられるよりも悲しい。
ただ、決してホラーなどではなく、普通に娯楽映画としても楽しめるし、本当の意味を知った後はなるほど……、うーん、とかなり考えさせられる映画になってる。これは、映画好きなら絶対観てほしい作品です。
日本の調査員が「トラとパイの漂流記」を報告書に採用したことも…粋だな~と思いましたね。
