ノースライト!!!
やっとこさ買いました!
横山秀夫待望の新作。書店に行く機会はあれど、本が分厚いため「今日は荷物多いしな」なんて後回しにしていたら何か月も経ってしまった。

あらすじ
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。このY邸でいったい何が起きたのか?
帯でハードル上げ過ぎだろw
いや、おったまげました。これ本当に横山秀夫が書いたの?と思うくらいちょっと難解な単語を使いすぎている文章。
作品数は非常に少なく、長年の活動の中で才能の衰えを一切見せない著者。
それだけに一作品ごとの密度は非常に濃く、読む者に絶大なる満足感を与えてくれました。
しかし、今回、御年おいくつかわからないけど新たなる挑戦?なのか、今までのカラーとは全然違う。
これはかなり好き嫌いが分かれる作品になってるだろう。
Amazonのレビューを読んでみた。
横山秀夫の素晴らしい推理が見られなかった
これは推理小説になってないじゃないか
等々結構辛辣な意見も見られる。
違うんだなあ、違うんだよ!!今までだって推理小説ではないんだよ。
この人はヒューマンドラマの中で社会問題、組織の暗部など描いてるだけで、そこに含まれる推理的要素が一番重要なわけではない。
ただ、あまりにもミステリー部分の描写、謎解きが秀逸すぎて単なる「推理小説」とくくられることがあるってだけ。
とはいえ、人物の心理描写・繊細な人間関係・文章の巧みさ・徹底したリアリティ、これらを横山秀夫小説の魅力とみるならば、
やはり本作は若干期待外れ、と言わざるを得ない。
まず、序盤の主人公の内面描写があまりに難解でクドイ。
それも真保裕一作品に出てくる主人公っぽいクドさw
これがおきまりの刑事ものならまだしも、「ダム建設に関わる父親の元、子ども時代住処を転々としていた一級建築士」というかなり特殊な立場から書かれているのですごく入り込みづらい。
建築士、というある意味画家たちのそれに似たようなアーティスト思考を持つ職業人特有の思考に、私の脳はフル回転するも理解が追いつかないw
離婚した妻ゆかりに関しても「インテリアデザイナー」なんつー職業なもんだから、まるで「未来のミライ」のような「いけすかない夫婦像」がしょっぱなから自分の中で根付いてしまったw
今までの横山秀夫小説は、刑事や記者という、読む側とは異なる立場であっても容易く感情移入できるようきちんと描写されていたはずなんだけど
本作はあえて?あえてなのかなあ……文学小説にありがちな「難解な人物」っぽく表現されてる気がする。
こんな単語を使うのは珍しいな…というような文章が多々出現する。
それに加えて、話の軸となっている亡命ドイツ人建築家、ブルーノ・タウト。
彼の存在がより、この小説を小難しいものにしてしまった。自分は無知なもんでてっきりこの人は架空の人物かとw
そのくらいむず痒くなる表現の連発だった。
しかし文章の巧みさ、という意味では、使っている単語はやや難解で遠回しでありながらやはり「美しい」と言わざるを得ない。
本作はおそらく「美しさ」にこだわった小説なんだと思う。ただ、それがいささかあざといというか、今までより肩に力が入っている感が否めない。
要するに、その巧みな文章でいちいち立ち止まってしまうんだな、今回。
車窓から眺める美しい田園だったものが、今回いちいち停車(もしくは減速)して花を観賞するような感覚で読まされたような…うまくいえないけど。
それに、物語のキーマンとなる「吉野」の行動、その動機も方法も最後まで納得できるものではなく、それがさらに「徹底したリアリティ」を壊してしまった。
百歩譲って動機はまだわかる。でも行動そのものはどうも腑に落ちない。
罪滅ぼしがしたい→恩返しってことにしよう→動機がバレないようにやろう
っていう流れなんだけど、3000万円をなんとかして青瀬に渡したい→3000万円の家を依頼して建ててもらおう
おかしいだろwそれ普通のことじゃん、罪滅ぼしになってないじゃん。
でもまあ、そこに青瀬の元妻ゆかりの思惑がからまって一応罪滅ぼしに成功、ってことなんだけど、なんだかなあ……。
ただ、決しておもしろくないわけではない。
クライマーズ・ハイのような重厚さとはまた違ったガラス細工のような綺麗さはそこそこ堪能できたし、64のような重苦しさはあまり感じなくて済んだし。
なんだろうなあ、すごく薬丸岳っぽい話の流れとオチだったと思う。
ってことはまあ、どっちの作家さんも大好きな自分にとってはハズレというわけではなかったのかな。
薬丸岳といえば全作品読破してしまって(横山秀夫もだけど)寂しいな~と思っていたところに、新作発見しまして。
『蒼色の大地』、来週あたり買ってきます。
