読書・映画感想

映画感想

インターステラー (2014)
INTERSTELLAR
監督 クリストファー・ノーラン

 

あらすじ
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

久々に映画を観て、泣いた…かなり泣いた。
やっぱ親の視点で観ちゃうよなぁ……我が子がどんどん歳を重ねていく中、自分は宇宙空間で若々しいまま…という、なんとも胸が苦しい。

SFの見せ方は相変わらず壮大なんだけど、この映画はクリストファー・ノーラン監督らしからぬヒューマンドラマが詰まっていて、おやおや?と。
なんか珍しいよな…って違和感。そこで、以前買った『すごく科学的』を参照することに。

この本は有名どころ(名作)SF映画を取り上げ、科学的視点から「映画のこの描写は可能なのか」「真実か?」「ふざけんなオイww」と、考察するというもの。といってもそこまでガッツリ真面目な内容ではなく、著者のリックとマイケルが途中途中、ふざけた会話を交わしながら進行していく場面もある。そのやりとりは書評家の間では賛否あり、私は皮肉というパンチで撃ち合う2人が結構面白いから嫌いじゃない。(余談だがこの2人、今年1月に『ハリウッド映画に学ぶ「死」の科学』という新作本を出している…買う!)

ラストからわかるように、この映画のテーマは間違いなく「愛」だよね。そこについてリックとマイケルは「これは反則だろ…ガッカリだぜ」と言ってるwまぁ映画界においても絶賛の声と共に、それありなの?という声も大きかった。そりゃSF映画において肝心の解決方法が「愛は重力を超える」みたいなこと言われたらさんざん映画観ながら考察してきたガチガチのSF映画ファンが怒るなんて別に変なことでもないよね。でも私はあながち「愛の力って最強」は間違いじゃないと思っていて、

愛なんて目に見えないものが人間の心理状態を大きく左右し、ひいては殺し合い、はたまた戦争に発展したり、人を破滅させたりもするわけで、世の中の摩訶不思議ってのはこのことよね…ってなもんですよ。

愛なんてセックスだ、と言われたら「じゃあ親子の愛ってなんなの?」と思う。しかし「親が子に抱く愛は自己愛、エゴである」とも思ったりもする。じゃあ自己愛は、エゴは、「愛」ではないのか?となると、それもどうなんだろう。
つまりはその人の為に命を捨てられるか否か、その人の存在が自分を超えるか、なんじゃないかな?判定の仕様がないけど。
しかし、そうなると夫婦の愛は?恋人は?皆が皆命を懸けるわけじゃない、だったらその愛は偽物か?という疑問が生じる。私はそれもまた一つの愛だと思う。どのみち正解はないわけだ……って、何故こんなこと長々と(^^;)

少し落ち着こう…興奮してしまったw

『すごく科学的』によると、この映画はスーパー科学者キップ・ソーン(宇宙物理学者)の協力のもと制作された。(制作総指揮に名を連ねている)私は科学に疎いのでよくわからないが、この方どうやら科学界では神様のような存在だとか。そして、キップが博士号をとったときの指導教員がジョン・ホイーラー(「ブラックホール」という言葉を作った人物)なんだって( ゚ ω ゚ ) ! !

そして、これは余談として書かれていることだけど、1979年には既に、フランスの天体物理学者ジャン・ピエール・ルミネが、パンチカード入力方式のコンピュータを使ってブラックホールがどう見えるかを計算、しかも彼はプリンターを持っていなかったため、計算結果を手作業で書いたと…それが、インターステラーに登場するブラックホール「ガルガンチュア」にそっくりなんだそうな。これについては映画インターステラーについての本に、キップ・ソーン自身が書いているらしく、つまりキップはジャンのアイデアを映画に投入したということなんだろうな…。
キップ・ソーン自身も重力波観測による功績で2017年にノーベル物理学賞を受賞している、そりゃこんな人が制作に協力したらね、心強いっすよ!
しかし、もっとすごいのはこの重力波の存在、100年前にアインシュタインが予測してるんだよね…。時代が彼に追い付かなかった、とはまさにこれ…!

実は以前買った中古の本『「相対性理論」を楽しむ本』を、最近寝る前に読んでいて、本当に偶然。なんとも感慨深い。

ただまぁ、やっぱり5次元での解決、あれはうん、なんだろうな、おや?だよね。
でもいいんだよ、完璧になんて描けない、宇宙という強大な存在、全ての謎はまだ解き明かされていないんだから。

そして、どんなに凄い科学者が味方についているとしても、映画はそれだけじゃダメだよね、キャストの演技、表現力、台詞、あらゆる全てが名作には欠かせないもので。
私はただ家族や地球の未来のために行ったのではなく、捨てたはずの自分の夢、それをもう一度掴むチャンスが訪れた主人公がある意味身勝手に宇宙へ旅立つという、その動機もなかなか良いと思った。
結局「あの時、行かないでと止めてくれ」「もう一度子どものもとへ帰りたい」そう泣いて縋る5次元の中の主人公、
ここはもう、科学的な検証なんてふっとぶほどの表現力、臨場感、涙、涙、手に汗握り、すごかった…。
最後に願うのは叶わぬ夢なんかではなく家族のぬくもりだった。娘の涙をぬぐうことだった、息子を抱きしめたい、その想いだけだった。
ベタなんだけど、ここまで壮大な科学力を見せながら最後に「愛」を持ってくるか?という、その点が本当に凄い。
当初の予定では、キップが書いたプロットを元に、スピルバーグが監督するはずだったらしいが、私はクリストファー・ノーランでよかったと心から思う。

さて、アクション的な面にも目を向けたい。
あれです、まさかのちょい役で、物語中盤にいきなり登場したマット・デイモンが結合失敗してドカーン、
その直後、即座に判断して俺らも結合!!つっこんでいくクーパー、これすごくない?マジですごい!
普通ポカーン、となって「もうだめだぁ…おしまいだぁ…」ってなるよね?ベジータならそうだよね?ww
この男………すげぇ…!(あれ?結合でいいんだっけ?接合?なんだっけ)

映画館で観たかったなぁ、惚れるよね?こんな判断力と実行力がある男、最高だよね?
それまで冴えない親父だったクーパー、マジ半端ないって!!!!ってなっちゃうよね?
回転速度を合わせるとか、天才かよ!!!

まぁとにかく言いたいことがたくさんあるんだけど、2時間半超えでも飽きさせない大作でした。
そういえば、クーパーの息子(大人になってからの)を演じたのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックだったな(ベン・アフレックの弟)
ほんと、どの映画でもまっっったく演技が同じw
故に、配役が合っている時の彼は素晴らしい、何故なら素の姿に見えるからw
でも本作では「おい…そこ無表情かよ」ってつっこみたくなった場面が…。
燃やされた畑の消化を終えて家に戻った煤だらけの兄(ケイシー・アフレッ)と「あれはパパ(クーパー)だったのよ!」と笑顔で兄を迎えて兄をハグする妹。ここ、ポカーン、ですよ兄さん…。「ナニイッテンノコイツ…」ってwまぁその反応で正しいんだろうけど、ケイシー・アフレックがそれを演じると「こいつ、また手抜き演技して素の自分で押し通してるな」とか穿った見方しちゃうw

感想滅茶苦茶だけど、最後に

どうか、宇宙の謎よ、解けないで
我々にまだまだ夢を見させてください(●´Д`●)

アップグレード (2018)
UPGRADE
監督 リー・ワネル

あらすじ
近未来で妻のアシャ(メラニー・ヴァレジョ)と穏やかに生活していたグレイ・トレイス(ローガン・マーシャル=グリーン)は、
突如現れた正体不明の組織に襲われる。妻は殺され、グレイは一命を取り留めるが、全身がまひしてしまう。
悲しみに沈む中、ある科学者から実験段階にある人工知能チップ“STEM”を肉体に埋め込む手術を提案され、彼は受けることにする。
やがて彼は体を動かせるようになったばかりか、驚異的な身体能力を得る。

これ、B級じゃね?と思わせておいて……実は結構面白いという…。
使い古されたSF設定?いや、それとも…という評価が難しい映画。
主人公グレイが再び自由に体を動かせるように、と手術した科学者はめっちゃ中二病みたいな面白い奴だし(このキャラほんとむず痒くてw)
近未来SFにありがちな無機質な雰囲気、無駄なロボット達、あり得ないくらい生活感がない部屋、コテコテすぎて笑っちゃう。
そして肉弾戦はとてもグロくて首がグチャっと飛ぶし包丁口にめり込ませてそのまま喉まで掻き切るし、
結構なスプラッターだったな、PG12の割りに。だけどコメディチック。

なんだろうなぁ……オチを言うと黒幕は科学者ではなく、人工知能チップ“STEM”だった……っていう…。
斬新なようでイマイチなようで割と新鮮……。
なんだろう、シンプルなんだよね、全体的に。
ストーリーがゴチャゴチャしてない、無駄を削ぎ落してる感じ。
そのあっけなさを面白い戦闘描写で補ってる、うまいバランスだと思う。
ラストは……。
グレイがSTEMに乗っ取られ、グレイの魂は仮想現実の中で亡き妻と幸せな日々を……という、バッドエンド。
バッドなんだけどグレイにとってはハッピーだよね、失ったはずの妻がいるんだから。
しかし、現実社会が今後どうなっていくのか、めっちゃ気になる。
人間の体はどうやったって腐敗していくのに、科学者殺していいのかね、グレイ本体が朽ちた時、次の宿主を探して移植手術しなくていいの??
しなくていいの??そこが気になったな。

ゴーンガール (2014)
GONE GIRL
監督 デヴィッド・フィンチャー

あらすじ
ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、
結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。
警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、
ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。
うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。

ん???なんだこれ?と思ったら以前も観ていたようだ。こういうことよくある。
デヴィッド・フィンチャー監督、さすがっす!
(かつてMJの『Who is it』というSFも手掛けている)
『セブン』『パニック・ルーム』『ベンジャミン・バトン』『エイリアン3』等々…まさしく奇才ですね。
派手さはないが当たり映画を作ってる…という私の持つフィンチャー監督のイメージ。

二度目の鑑賞でもやっぱりすごく気分悪いw
ただ、これ飛ばし飛ばし観てたんだろうな、こんな場面あったか?というところも多々あり新鮮ではあった。

エイミーのナレーション(独白)が日記の内容とリンクし、回想シーンとしても再現されている。
しかも、その回想シーンがエイミーの頭の中の記憶なのかニックのものなのか、視聴者が混合するよう仕向けているという点も見事。

あの流れでいくと、「俺がエイミーの子どもを望んでいたけど彼女が拒んだ」というニックの告白がまったくの嘘に聞こえる、実にうまく練られた脚本天。

結局テレビに注目され、理想の夫を演じきったニックのもとに「合格!!!」と言うかのように戻るエイミー。
とことん夫の操縦がうまく、恐ろしい。
ただ、そんなエイミーも所詮ただの女。
「夫の暴力に怯えた妻」を演じることは出来ても「夫の浮気に耐えられなかった女」を演じるのはプライドが許さなかった。
女ですね、まさしく、「女」。
だからこそ「あのアバズレ…」と、いう台詞が出てくる。
これらの暴言は身を隠しているエイミーが、たまたまテレビに映るニックの浮気相手の公開謝罪を見たときに口にした言葉。
夫に不利な浮気の暴露は本来、妻殺しの罪を着せられた夫を死刑に近づけることが出来る材料のひとつ。
しかし、そこだけは譲れなかったのねエイミー。
本当は「愛してる」を聴きたかっただけってやつね。ほんと怖いけど女心だねぇ…。
結局お似合いなんじゃないのかね。この先お金にも困らないだろうし。
ただ、子どもは大変だ、こんなキチガイが母親じゃ…。

見事な脚本と、ロザムンフド・パイクの名演(不細工と美女の使い分け、すごかった)と、ベン・アフレックの冴えない男っぷりが光ってましたw
若い浮気相手とのキスシーン何よあれ、ベンは体もデカイけど顔もデカイから大人が子どもにキスしてるみたいでキモかったぞ…(●´゚ω゚`●)

読書感想

さてさて、先日漫画を描く参考にもなるし、と買った本を紹介します。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める!
宇宙のしくみ
松原隆彦(著) 2020/10/16

このシリーズの物理がおもしろかったので、宇宙篇。とてもいい!

イラスト図解感染症と世界史
人類はパンデミックとどう戦ってきたか
神野正史(著) 

前から気になっていた本、ついで買い。
割と、サラっとおさらいできる読みやすい本になってて、字も小さくないw

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